こんな台詞を見たことはありませんか?
「自分の身体のことは、自分がよくわかってるよ…」
思い浮かぶのは、深い傷を負った人がこんな台詞を言う場面が多いのではないでしょうか。深い傷を負っていなくても、「自分の身体のことは自分がよくわかってる」。こう言えるようになることが、ロルフィングのゴールのひとつと言えます。
私の自分の経験として大いにあるのですが、実は自分の身体のことって普段あまり考えていない人が多いかと思います。
仕事もあるし、家事もあるし、日々のことで精一杯で自分の身体のことを考えるとしたら、「なんか最近腰が痛いなぁ」、「最近ずっと肩が凝りっぱなしだなぁ」などなど、実際に痛みや不快感に気がついてから。
身体の感覚が鈍くなっていて、痛みや不快感にもあまり気がついていない。
そんな人は少なくないのでは、と思います。
本来、人間には自己治癒力が備わっていて、たとえ疲れても睡眠によって回復できるようになっています。
ちょっと極端な図(相変わらずひどい手書きクォリティなのは置いておいて)ではありますが、描いてみました。
正常な状態を図のグラフの上の状態として、仕事や家事、生活をしていくうちにだんだんと身体は疲れていきグラフは下降していきます。
下降するものの、睡眠をとることで身体はある程度回復し、正常な状態まで戻ります。たとえ身体が回復しきらなくても朝はやってくるので、また生活の中で身体は疲労してグラフは下降していきます。
本来なら、毎日このグラフは下降と上昇の繰り返しで、健康な身体が保たれることになります。
ですが、ある程度疲労が溜まると、身体は違和感を感じます。違和感を感じた時点で、ちゃんと睡眠をとったり療養をすればグラフはまた上がっていきますが(図の1つ目の★)、もし違和感に気がつかずに疲労していったら、どうなるでしょうか?
身体の疲労は蓄積し続け、そのうち痛みや不快感として現れてきます。(2つ目の★)
私はかつてこのあたりで身体の痛みや不快感に気がつきましたが、気になったらマッサージなどに行って一時的にグラフを上昇させ、また次の日から下降して…を繰り返していました。
このときの自分を思い返すと、「身体がゴリゴリに固まってきたから、どこかでほぐしてもらおう」と他人任せな思考でした。
あまり自分の身体の感覚を感じようとすることもなく、ただ「肩が凝っているからなんとかしたいなー」くらいで、朝起きた時の身体の調子やその日その日で違うはずの身体の状態のことなんて、考えもしませんでした。
このまま身体の声を聞かずに無理をし続けると、睡眠ではグラフは上昇しきれず、だんだんとゆるく下降することになります。
そして、それはやがて病気や慢性的な症状となって身体を蝕んでいきます。
そうならないためには、どうしたらいいのか?
また、そうなったときにどうしたらいいのか?
やはり、日々の身体の状態に意識を向けること、身体の小さな変化に気がつくことがとても大事です。
グラフが下降して、違和感レベルまで下がってしまったら、そこで気がついてちゃんとグラフを上昇させてあげるのです。
こう書くと当たり前のことのように思いますが、これがなかなかできていないのが現実だったりします。
ロルフィングは効果が持続するといわれる理由
けっこうこのブログでもしつこいくらいに「身体に意識を向けることが重要」と叫んでいますが、それはなぜか?
実は、自覚がなくても、無意識でも身体は日々変化し続けているので、変化をするだけなら特に意識を向けたり、気づきを促す必要はありません。
身体は「心地いい」と感じる状態をキープしようとする力があるので、「心地いい」姿勢、動作に気がつけば、その状態を持続しようとします。
しかし、意識を向けておらず気づきがない状態では、その変化はすぐに戻ってしまいます。
マッサージや整体を受けて、身体に刺激を入れて変化を一時感じても翌日には戻ってしまうと感じる方は、まさにここに理由があります。
ロルフィングは受けると効果が持続する(元の状態には戻りません)と言われるのは、クライアントさんの身体に対する意識や気づきを重視するという点が非常に大きいです。
身体全体のバランスを見て適度な刺激を入れながら、
「どう感じているか?」
「さっきと比べてどうか?」
「左右で差は感じたか?」
など、セッション中は問いかけをたくさんさせていただきます。
感覚がわからなかったり、どう言葉にしていいかわからなかったり、で戸惑う方がほとんどです。
そんな方々も、セッションを何回か受けると慣れてきて、だんだんとご自身の感覚を具体的に伝えてきてくださるようになります。
そうなってくると、気がつくと日々の中で感じることが増えてきます。
- そういえば、立っている時に左の肩甲骨の下くらいに力が入っているかも?
- 今まで気にならなかったけど、このバッグは持ちにくいかも?
- 意外と背もたれを使わない座り方の方が楽なのかも?
などなど、今まで気がつかなかったことに気がついて、より心地いいと思う方を身体は選んで行動するようになるので、身体の変化は持続し、健康度グラフの上昇率は上がります。
ロルフィングのセッションの中盤あたりで、この
「身体に意識を向ける」
「変化に気づく」
に慣れてくると、最初ほど大きな変化を感じられず疑問の声をいただくことがあります。
それは、身体や意識レベルが慣れてきて今まで「気づき」として感じていた変化は当たり前の感覚となり、身体の感覚や気づきのレベルが一段階上がった状態といえます。
ちょうどこの頃、ロルフィングでは深層、もしくは統合のセッションに入るので、より深い刺激を身体に与えることになり今までとは異なるレベルで変化を感じることが増えてきます。
そして、身体が心地いいと感じている状態と、そうでないときの違いが明確にわかるようになり、心地いいと感じられないと気付いたときは、心地いい状態にもっていけるように調整、コントロールできるようになっていきます。
ほんと、ロルフィングのレシピはよくできていらっさいます。
もちろん、自分の身体に意識を向ける方法はロルフィングだけではなく色々とあります。
ヨガやピラティス、ウォーキングやランニング、その他のスポーツ、瞑想など、ご自身の身体に意識を向けられて楽しく続けられるものを探してみてください。
それでもちょっとよくわからないな?というときは、身体の意識が向けにくいところ含め、全身にアプローチしながら身体に意識を向けていくロルフィング、一度試してみてくださいね。
そして、深い傷を負ったときではなく、グラフがちゃんと上にいる状態、眠ればちゃんと復活する快適な身体を手に入れたちょっとゆるい笑顔で「自分の身体のことは自分がよくわかってるぜ♪」と言ってやりましょう♪